発表者募集:国際研究集会 2009:外国語教育の文脈化

発表者募集
国際研究集会 2009:外国語教育の文脈化:『ヨーロッパ言語共通参照枠』+ 複言語主義・複文化主義 + ICTとポートフォリオ用いた自律学習
http://www.momiji.h.kyoto-u.ac.jp/IRC2009/ja/ 日本語版サイト
http://www.momiji.h.kyoto-u.ac.jp/IRC2009/fr/ le site en français


2009年4月3日(金)4日(土)5日(日)10:00-17:30
主催:京都大学大学院外国語教育論講座
場所:京都大学大学院人間環境学研究科棟(吉田南キャンパス)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/downlodemap/documents/main2008.pdf
日仏同時通訳あり
参加費:一般1000円,学生800円(イヤホン代を含む)

このシンポジウムは京都大学大学院 人間・環境学研究科 外国語教育論講座が日本学術振興会の援助により開催するものです。

趣旨:
 西欧諸国で開発された外国語教育の目的,目標,教授法等はアジアの外国語教育にあっているだろうか。ここで問題にしている「文脈化」とは,既存のモデルをローカルな環境に適応させることである。社会のグローバル化と世界の多極化の進む今こそ,外国語教育の文脈化を考えるべき時である。それぞれの国に,それぞれの教育機関に,それぞれの学習者にもっとも適している外国語教育の目的,目標,教授法等について議論しよう。


問題提起1:
『ヨーロッパ言語共通参照枠』(CEFR)の受容と文脈化
 西欧諸国で開発された外国語教育の目的,目標,教授法等はアジアの外国語教育の現場にあっているだろうか。最近,各国で『ヨーロッパ言語共通参照枠』を参考にして外国語教育の改革に役立てようとする動きが見られる。しかし,競って取り入れようとしているのは『参照枠』の共通基準(第3章の共通参照レベル Common Reference Level と第4章のcan doリスト)に限定されているように思われる。しかも,それはしばしば1言語内での共通基準である。レベルとcan doリストが一人歩きをしていて,肝心のヨーロッパ評議会の言語政策に基づいて作成された『参照枠』の目的,目標が忘れられている。『参照枠』の作成に中心的役割を果たした Coste 氏は,『参照枠』の使用にあたっての文脈化の必要性を早くから主張している。彼の言っている「文脈化」とは,既存のモデルをローカルな環境に適応させることである。第4章のレベルとcan doリストのみを文脈化して,換骨奪胎して用いるにしても,『参照枠』の基本理念は考慮する必要があるはずである。そこで,アジアの各国では『参照枠』はどのように受容され,文脈化されているか情報交換し,『参照枠』の受容と文脈化に伴うさまざま問題について議論しよう。
キーワード:『ヨーロッパ言語共通参照枠』(CEFR)の基本理念;文脈化;共通基準;共通参照レベル;can doリスト

問題提起2:
複言語主義・複文化主義とグローバル化と多極化
 社会のグローバル化に伴い,国際語としての英語の地位はますます高まっているのに対して,英語以外の外国語の国際語としての地位は低くなっている。一方において,世界の多極化が急速に進行している。このような世界において,いま英語以外の外国語はどのような教育をすればいいのだろうか。この疑問に答えてくれるのは『ヨーロッパ言語共通参照枠』の提唱している「複言語主義・複文化主義」であるように思える。本来,『参照枠』では共通基準の普及と複言語主義・複文化主義の促進は車の両輪であったはずである。
 グローバル化と多極化が同時進行している今こそ,英語以外の外国語教育の目的,目標,教授法等について議論しよう。
キーワード:複言語主義;複文化主義;外国語教育の目的;外国語教育の目標;外国語の教授法

問題提起3:
ICTとポートフォリオを用いた自律学習と複言語能力・複文化能力の養成
 『ヨーロッパ言語共通参照枠』では,生涯学習を展望に入れて自律学習能力の養成と自律学習が推奨されている。日本の外国語教育の現場では,別の理由でも自律学習が必要とされている。『参照枠』の提唱しているように母国語以外に二言語を教育し,複言語能力・複文化能力を養成するためには,日本の学習者にとっては,圧倒的に学習時間が不足している。その不足している学習時間を補うための切り札になるのが自律学習である。授業時間外に自律学習すれば,学習時間を増やすことができる。
 また,我が国で『参照枠』について言及するときに忘れられがちなのは,複言語能力・複文化能力を養成するためのツールである『ヨーロッパ言語ポートフォリオ』(ELP)の存在である。ポートフォリオの導入の目的のひとつは,自律学習能力の養成のためである。
 ICT(情報通信技術)の進歩と普及とポートフォリオの導入により自律学習は今新しい局面を迎えている。新しい自律学習の実践,教材について議論しよう。
キーワード:複言語能力・複文化能力;自律学習;生涯学習;ICT;ポートフォリオ

1. 発表(20分の研究発表+10分の議論,あるいは90分のワークショップ)希望者は,タイトル,発表形式,発表言語(日本語,フランス語,英語)を2月10日までに送付してください。

2. 発表が採択された場合,2月28日までに,レジュメ(400字程度,フランス語,英語の場合,200語程度)を送付してください。

問い合わせ先:外国語教育論講座准教授・西山教行
jnn@lapin.ic.h.kyoto-u.ac.jp