2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

稲垣直樹「星の王子さま」物語

稲垣直樹(2011)「星の王子さま」物語 (平凡社新書) 稲垣先生,御恵投ありがとうございました。「星の王子さま」物語 (平凡社新書)作者: 稲垣直樹出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2011/05/14メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る

第十三章 教育の文化的基盤と霊長類的基盤,第十四章 非合理性と文化,第十五章 同一視と文化

第十三章 教育の文化的基盤と霊長類的基盤 本章ではアメリカの教育に対して以下の2点から批判がなされる。 まず,アメリカの教育は人間の本性にそぐわないということである。著者は脳に関するいくつかの実験と観察を挙げて,人間の脳がホログラフィー的思考…

災禍の中のことばの力

東日本大震災は私たちの想像を大きく上回る災 禍をもたらし、それに続く原発の事故は収束の見込 みすら、いまだ不明である。この災厄を言語問題と の関連で考えると、二つの課題が浮かび上がる。 一つは災害時の非日本語話者など情報弱者に対 する対応で、ど…

第十一章 かくれた文化と行動連鎖,第十二章 イメージと記憶

第十一章 かくれた文化と行動連鎖 人間は自分があたりまえだと思っている事柄,つまり他人との相互作用の基本様式を言葉にしようとしない。大半の行動は,言葉のレベルではなく,感情のレベルで経験されるからである。自立と個性を誇る文化にいながらも,行…

第七章 高コンテクストと低コンテクスト,第八章 なぜコンテクストを問題にするのか

第七章 高コンテクストと低コンテクスト 人々が日々感じるいらだたちは、人格と文化のかみあいの欠陥によるものである。これらは,自分たちがつくりだした制度の明白かつ表面的な徴候への無理解のため起こるのであり、解決には文化の底流をなす構造を知る必…

第二章 ものとことば

第二章は,最初にものと言葉の対応関係をめぐって議論を展開している。言語学の見地から見ると、ものより言葉が先に存在する。また、言葉の機能を果たすには、その前提として人間の認識を考える必要がある。このことによってものを分節化し、虚構とすること…