2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

公開国際研究会のご案内「移民の言語教育と教師の役割 ―フランス語、日本語教育の現場からの発信―」

外国からの移民が受け入れ社会で生活するために言語能力が重要な鍵になると言われますが、移民のための第二言語教育の現場では、誰が何を教えるのか試行錯誤が続いています。今回の研究会では、言語教育における「教師の役割」について、フランス語教育と日…

第三章 多言語世界の諸費用

第三章は言語が公共団体および民間団体にどのようなコストを発生させるかについて考察している。「国家は言語のために金を出すが、これは国家が言語の助けを借りて自らを作り上げ、存続させているからである。財界も金を支出するが、これは経済が機能するた…

日本言語政策学会関東地区月例研究会

日 時 2009年5月30日(土)15:00〜17:00 早稲田大学西早稲田キャンパス22号館 8F 会議室 (東京都新宿区西早稲田1-7-14) 西早稲田キャンパスまでのアクセス http://www.waseda.jp/jp/campus/index.html 西早稲田キャンパス 22号館の拡大地図 http://www.was…

第四章 ヨーロッパ東部の非印欧諸語

本章はヨーロッパ東部に存在する非インド・ヨーロッパ語を紹介し,その現況を論じる。第四章冒頭は,第2版からの加筆であり,その中でバスク語並びにエトルリア語,アラビア語を取り上げ,かつてはヨーロッパの地に存在したが,現在は消滅した言語と定める。…

多言語化現象研究会 10周年記念研究大会

(第1回 研 究 大 会)(研究フォーラム「多言語化する日本社会―理想と現実」)日 時:2009年6月20日(土)9:45〜18:00 会 場:国立民族学博物館 第3セミナー室・第5セミナー室 定 員:100人(どなたでもご参加いただけます) 参加無料【事前登録必要】なま…

第三章(後半)

第三章後半は,ヨーロッパの重要な言語派であるスラブ語派,ギリシア語,アルメニア語,インド・イラン語に当てられている。メイエはスラブ語派を構成する三つの「方言」として「大ロシア語」grand-russe「小ロシア語」petit-russe「白ロシア語」blanc-russe…

Véronique Castellotti, L'école française et l'intégration des migrants : histoire, modalités, perspectives

LA CONFERENCE Association de l’enseignement de la langue japonaise pour les etrangers de l’Université Waseda, TokyoLe 21 mai 2009 jeudi 18 :15-19 :45 la salle de conference à 8 em étage de batimant 22L'école française et l'intégration des …

早稲田大学日本語教育学会 講演会 「フランスの学校と移民の統合: 変遷,様相,展望」V.カステロッティ

━【講演会】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 5月21日(木) 早稲田大学日本語教育学会 講演会 「フランスの学校と移民の統合: 変遷,様相,展望」V.カステロッティ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●2009年5月21日(木)18:15−19:4…

第2章「言語の価値―言語の経済的側面を形成する諸要因」

この章の冒頭で筆者は、「全ての言語は平等である」という言説について、「言語学の認識の関心をこのように限定したことは、その体系的発展にとって有益であった。しかしこれによって、言語学の手段によってはじめて追究できる問題設定も封じられてしまった…

2009年9月18日「リテラシーズ」研究集会 「複言語・複文化主義と言語教育」

━【研究会】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 9月18日「リテラシーズ」研究集会 新企画 2009年度のテーマ:複言語・複文化主義と言語教育 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 『ヨーロッパ共通参照枠』(CEFR)で提起された複言語・複文化主義は,多 言…

第三章(前半)

本書の初版はこの章より始まる。そのために,第三章冒頭は歴史的展望から始まり,第2版の一章,二章との重複が認められる。 メイエはヨーロッパの言語事情をインド・ヨーロッパ語の分化という視座から記述を試みる。インド・ヨーロッパ語はいくつかの言語グ…

斉田智里(2008),「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)による日本人大学生英語力診断の試みー英語教育達成目標へのCEFR適用可能性の一検討」

斉田智里(2008),「ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)による日本人大学生英語力診断の試みー英語教育達成目標へのCEFR適用可能性の一検討」,Jacet Journal,47,pp.127-140. 著者は,大学英語教育において達成目標導入の動きがあることを背景に,CEFRによる…

日本言語政策学会 第6回 関西地区研究例会

日本言語政策学会 第6回 関西地区研究例会— シンポジウム — 「外国人児童生徒の言語教育政策を考える−大阪府の事例を中心に−」日時: 5月16 日(土)14:00-17:00 場所: 関西大学 千里山キャンパス 尚文館 501号室 http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/a…

山田雄一郎、『日本の英語教育』

山田雄一郎(2005)、『日本の英語教育』、岩波書店、225 p、岩波新書943文部科学省は、2002年に「『英語が使える日本人』育成のための戦略構想」を発表しました。さらに2011年には、小学校への早期英語教育を導入することを前提として、いよいよ環境整備を…

岡 秀夫「英語教育の基準を求めて−日本版CEFRへの取り組み」

岡 秀夫「英語教育の基準を求めて−日本版CEFRへの取り組み」『英語展望』2008, n.116, pp. 18-23. 『欧州共通参照枠』を日本に応用しようとの試みがいくつか行われている。その中でも,「世界水準の英語教育を考える」とする研究グループが『参照枠』に着目…

白井 恭弘(2008)『外国語学習の科学 ―― 第二言語習得論とは何か ―』

白井 恭弘(2008)『外国語学習の科学 ―― 第二言語習得論とは何か ―』岩波新書 新赤版 1150 ピッツバーク大学言語学科教授白井恭弘による,「第二言語習得」Second Language Acquisition(SLA)の入門書。 母語の価値と第2言語の差異,臨界期について,動機付け…

中谷 真憲(2006),「フランスにおける移民の社会統合と共和国理念」

中谷 真憲(2006),「フランスにおける移民の社会統合と共和国理念」,河原祐馬・植村和秀編『外国人参政権問題の国際比較』昭和堂, pp. 40-43.本論文で著者は現代フランス社会における移民政策を政治論的観点,なかでも共和国原理との関連で分析している。…

薬師院仁志、『英語を学べばバカになる:グローバル思考という妄想』

薬師院仁志、『英語を学べばバカになる:グローバル思考という妄想』、光文社、2005、250 p、光文社新書208 英語帝国主義の弊害を訴える書物は決して少なくありません。世界の多様性を否定する、英語母語話者と非母語話者との間に格差や差別を作り上げる、な…

田中克彦、『ことばと何か:言語学という冒険』

田中克彦 、『ことばと何か:言語学という冒険』、筑摩書房、2004年、238 p、ちくま新書463(品切れ,講談社学術文庫にて再版)本書は、十九世紀以降のヨーロッパ近代言語学がどのような思想的特色をたどってきたのかをたどるものです。このことから、言語学…

Janine Courtillon, La mise en oeuvre de la grammaire du sens dans l'approche communicative ; analyse de grammaire et de manuels, ELA, 2001, n. 122, pp. 153-164.

CourtillonはACにおいて文法を取り扱う場合、形態論に重点を置いた文法ではなく、コミュニケーションにおいて重要な意味を持つ、意味の伝達を考える「意味の文法」を導入することを提唱しています。Courtillonは、1977年にNiveau seuil の文法を執筆し、ACに…

林周二(2004)『研究者という職業』東京図書

■目次 研究者事始め 第1部 研究と研究者(研究職は一生涯の仕事;「知の仕事師」としての研究者;科学とその効用、実用価値 ほか) 第2部 研究者を志す(プロの研究者に求められるもの;研究者に必要な諸適性;創造性、個性の発揮 ほか) 第3部 研究者と…

第1章 先史時代

この章は第2版によって加筆された箇所であり,初版はヨーロッパの言語の現状を記述しようとすることに対して,第2版ではそれを先史時代L'epoque prehistoriqueにさかのぼり,より体系的に,また歴史的な解明を試みている。 メイエは,文字に書き記された歴史…

保護領チュニジアの教育について

保護領チュニジアの教育について、1885年に公開された報告書を読みました。Louis Machuel (1885), L’enseignement public en Tunisie, rapport adressé à M. le Ministre Résident de la République française à Tuni, Tunis : Imprimerie française Borrel.…

序論

メイエは現在のヨーロッパの言語事情を「逆説的」と表現する。「逆説的」とは,「一般とは逆の方向から真実を述べるさま」(広辞苑)を意味するが,ここでは何を持って「逆説的」と形容するのだろうか。メイエは,ヨーロッパが物質文明のみならず,精神文明に…