日本言語政策学会 第5回 関西地区研究例会

日時:2009年 1月24日 (土) 14.00 — 16.30 

場所:関西大学 千里山キャンパス 尚文館 508号室
http://www.kansai-u.ac.jp/Guide-j/mapsenri.html

プログラム
1. 14.00−15.00 ミヒャエル・シュレーン (大阪ドイツ文化センター 館長)
EUの『多言語主義』政策と旧ユーゴスラヴィアにおける言語・文化普及活動— サライエボのドイツ文化センターの活動を通じて」  

シュレーン氏は、旧ユーゴスラヴィア地域の複数のドイツ文化センターで、ドイツ語・ドイツ文化の普及に携わってきた。その経験・観察をもとに、歴史的に多文化が共存してきた地域で、「ユーゴスラヴィア」という国家の崩壊がもたらした種々の紛争・文化的葛藤、分離・独立した「クロアチア」「ボスニア・ヘルツエゴヴィナ」「セルヴィア」等と、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどの言語文化政策の関わり方について論じる。そのようなアクチュアルな経緯を踏まえた上で、2007年1月より、27カ国を擁する「欧州連合」(EU)で「教育・文化総局」内に新しく開設された「多言語部局」(担当のEU委員は、ルーマニアのLeonard Orban氏) と、市場において英語への求心力が高まる傾向があるなかで、「多言語政策」を推進する意義、困難性、課題について考える。
 (講演はドイツ語で行なわれ、通訳がつきます。)

2. 15.30 —16.30  テーヤ・オストハイダ  (関西学院大学)
「日本の多言語社会と複数言語教育 —「外国語=国外語」でいいのか—」

教育やマスメディアによって形成されてきた「国際化」のイメージと、200万人以上の外国籍住民を抱える「移民国家日本」の実態とのギャップが大きい。「英語が使える日本人の育成」を提唱した文部科学省は、どの程度、国内の多言語、多文化実態を考慮しているのだろうか。未だに多くの大学において必修科目として健闘している独・仏語の役割をどうとらえるか。また、「ハングル」を学ぶ日本人は、日本の少数民族をどの程度認識しているのだろうか。本発表では以上の様な問題点を取り上げ、現在の日本に相応しい多言語・多文化理解教育のありかたと課題について考えていきたい。
(講演は日本語で行なわれます。)

* 皆様方の多数の参加をお待ちしています。

連絡先: 杉谷眞佐子(日本言語政策学会理事・関西大学)sugitani@ipcku.kansai-u.ac.jp